40代・50代になると、若いころに読んでいたマンガと好みが変わってくるものです。若いころはスピード感や恋愛のドキドキを重視していた方も、今は人生経験を反映したストーリーや、共感できる登場人物に惹かれるのではないでしょうか?
本記事では、40代・50代におすすめのマンガの特徴や、若いころと何が違うのかを詳しく解説します。さらに、大人世代がマンガを楽しむメリットや、選び方のポイントも紹介します。
40代・50代におすすめのマンガ

エマ(森 薫)
19世紀末の英国ヴィクトリア朝、孤児の少女エマは、貧困と売買の危険から逃れてロンドンへ。老婦人ケリーに拾われ、家庭教師のもとで教育を受けながら、メイドとして成長していきます
ある日、ケリーの元教え子で裕福な若紳士ウィリアム・ジョーンズが訪れ、二人は出会い、一目で運命を感じます。その後、身分の違いに葛藤しつつも愛を育む二人は、社会や家族の障害と向き合い、やがてじっくりと人生を歩んでいくことに。
絵柄と演出の巧みさ
少ないセリフでも空気感や心情を伝える構図、情報量の多い美麗な作画が特徴。作画の密度は巻を重ねるごとに高まり、表情から服飾の質感まで息を呑むほどリアルで美しいとの評価多数です。
何といっても表情で魅せるのが神がかっている作者さんです。コマ割り、構図が素晴らしく人物も魅力的で大好きな作者さんです
BANANA FISH
1980年代のニューヨーク。17歳の若きストリートギャングのリーダー、アッシュ・リンクスは、美貌と戦術・カリスマ性を併せ持つ存在です。その兄・グリフィンはベトナム戦争からのトラウマで心を閉ざし、現在はアッシュに養われています 。
ある晩、アッシュは仲間によって射殺された男から「バナナフィッシュ」と謎めいた言葉を聞かされます。それは、兄も繰り返しつぶやいていた言葉。その謎を追う中で、イタリアンマフィアのゴルツィネの陰謀と、ドラッグの陰に隠された深い闇を知ることに。
そんな中で出会う奥村英二は、日本から来た心優しい写真家アシスタント。不器用ながらも強い絆を築き、アッシュは「バナナフィッシュ」の謎に迫り、ゴルツィネ一味との闘いに巻き込まれていきます
美しさと暴力の対比
アッシュの美貌と残酷な暴力シーンが対照的に描かれ、読者は美と残酷の境界に引き込まれます。この画風ならではのギャップが強く印象に残ります 。
英語圏でも「one of the great manga epics」や「犯罪サスペンスの傑作」と称され、アニメ化(2018年・MAPPA)、舞台化もされています
主人公の絵の美しさも手伝ってアッシュリンクスが繊細で美しく虜になってしまいます。青春時代にもっとも好きだった漫画で影響されてヘミングウェイを読んだりしました。

左ききのエレン
美術部の高校生・光一は、街のグラフィティ(落書き)を観て「自分よりうまい」と驚かされます。その作者こそ、美貌と圧倒的な絵心を持つ少女・エレン。強烈な個性に圧倒され、憧れと焦りを抱いた光一は、彼女への挑戦と自己探求を始めます 。
才能 vs. 努力のリアルな問い
多くの人が抱える「天才になれない自分」との葛藤。光一のもがきは、自分もそうだった…と共感できる人が多いでしょう
- クリエイティブな世界で奮闘する人、
- 才能と努力をテーマにした深い人間ドラマが好きな人、
- 自分の「普通さ」を抱えつつ、それでも「何者かになりたい」と思う人に、
― 特に刺さる一作です。
主人公の成長に合わせて作品自体の画力も上がっていき、とんでもなく熱のこもった作品です。

チ。
合理性を信じて神学を学ぶ12歳の天才ラファウ。偶然出会った異端研究者フベルトに導かれ、地動説の研究に心惹かれていきます。しかし、異説を唱えることは命をかけた行為でもあり…。
信念と命の衝突ドラマ
異端思想を信じ、命を懸けて理論を追い求める人々の生き様が、骨太な人間ドラマとして描かれます。
真実とは。信念とは。生きるということを深く考えさせられる作品です。
DEATH NOTE
『DEATH NOTE(デスノート)』は、大場つぐみ(原作)・小畑健(作画)による2003〜2006年掲載の心理サスペンス漫画。天才高校生・夜神月(ライト)が“死神のノート”を手に入れ、犯罪者を次々と裁く「正義」を志す一方で、世界最強の探偵Lとの頭脳戦が展開されます
圧巻の頭脳戦
月とLが長期戦を繰り広げる過程は、まるでチェスのような緊迫感。知略と心理戦の応酬が読者を夢中にします 。
もはや説明不要かなと思うほど人気で定番のマンガですが画力、ストーリー全てが完璧で今でも人気は衰えていません。

40代・50代におすすめのマンガの特徴とは?

心に響く人生ストーリーが魅力
40代・50代になると、仕事や家庭、健康など多くの人生経験を重ねてきます。そのため、マンガにもより深い内容や人生の教訓を求めるようになります。たとえば『黄昏流星群』や『深夜食堂』のように、日常の中にある切なさや温かさを描いた作品が人気です。こうしたストーリーは、「自分もこんな経験があった」と共感でき、心にじんわりと響くのです。
現実に寄り添ったキャラクター設定
若いころのマンガには、超人的な能力を持った主人公や、非現実的な恋愛が多く登場します。しかし、40代・50代の読者は、現実に即したキャラクターを好む傾向があります。たとえば『おじさまと猫』のように、年齢を重ねたキャラクターの心の変化や人間関係の描写に注目が集まります。現実とリンクしているからこそ、物語への没入感が高まり、読むほどに味わいが増すのです。
ノスタルジーを感じさせる演出
40代・50代向けのマンガには、昭和や平成初期の懐かしい風景やアイテムがしばしば登場します。これは、読者の青春時代とリンクすることで、「あのころはこうだったな」という気持ちを呼び起こします。たとえば『三丁目の夕日』のような作品は、懐かしさと共に安心感を与えてくれるため、読者の心を優しく包み込むのです。
若いころに読んでいたマンガとの違い

読む目的が「共感」から「気づき」へ
若いころのマンガは、恋愛や冒険のドキドキを追い求めるエンタメ要素が強い傾向にありました。しかし、40代・50代になると、読者は「共感」や「気づき」を求めるようになります。たとえば介護や定年後の生活、人間関係の再構築など、人生のリアルな課題に触れたマンガが増えています。読むことで新たな視点を得たり、自分のこれからを考えるきっかけになったりするのです。
キャラクターの成長よりも人間ドラマに注目
若いころは、「成長して強くなる主人公」に心を動かされた人も多いでしょう。しかし年齢を重ねると、目まぐるしい展開よりも、じっくりと描かれる人間関係の変化に価値を感じるようになります。
たとえば『重版出来!』や『島耕作シリーズ』では、登場人物がキャリアや人間関係で葛藤する姿が丁寧に描かれ、大人世代の読者にとって深い学びがあります。
ペースが落ち着いている作品が好まれる
若いころはテンポの速いバトルマンガやラブコメが人気でしたが、40代・50代になると、ゆったりと進むストーリー展開のマンガを好む人が多くなります。理由は、忙しい生活の中でも無理なく読めて、じっくり味わうことができるからです。たとえば『きのう何食べた?』のように、日常を丁寧に描いた作品は、読むたびに心が整っていくような感覚を与えてくれます。
大人世代がマンガを読むメリット
ストレス解消とリラックス効果
40代・50代は仕事や家庭でストレスを抱えやすい世代でもあります。マンガを読むことは、現実から少し離れ、自分だけの時間を楽しむ手段として非常に効果的です。特に、癒し系やユーモアを含んだマンガを読むと、自然と笑顔になり、心が軽くなるという人も少なくありません。
新たな価値観との出会い
若いころには出会わなかったジャンルやテーマに触れることで、新しい価値観や知識を得られるのも、マンガの大きな魅力です。たとえば、老後の暮らし方や再婚、シニアライフなど、大人ならではの課題を題材にした作品が多くあり、自分の人生をより豊かに考えるヒントが詰まっています。
家族や友人との会話のきっかけに
大人世代の中には、マンガを通じて家族や友人との会話が増えたという方もいます。たとえば「このマンガ、すごく泣けたよ」「これ読んでみて!」といった形で、共通の話題が生まれることも魅力のひとつです。マンガは、世代を超えて人とつながるツールでもあるのです。
40代・50代におすすめのマンガを選ぶポイント
自分のライフステージに合ったテーマを選ぶ
40代・50代は人によって人生のフェーズが異なります。たとえば子育てが一段落した方、定年退職を迎える方などさまざまです。そうした背景に合わせて、共感できるテーマのマンガを選ぶと、より深く楽しめます。介護、老後の暮らし、再婚など、リアルなテーマが心を打つこともあります。
作者の経歴や年齢に注目する
マンガ家自身が40代・50代である作品には、等身大の視点で描かれたリアルな感情が反映されていることが多いです。そのため、作家の年齢や人生経験にも注目することで、自分に合った作品を見つけやすくなります。
たとえば、東村アキコや弘兼憲史のように、人生経験をもとにしたマンガが多くの読者に支持されています。
口コミやレビューを参考にする
特に最近は、ネット上で**「40代・50代におすすめのマンガ特集」**なども多数紹介されています。Amazonレビューやマンガアプリの評価も参考になります。実際に同年代の読者が高評価をしている作品であれば、自分にとっても読みやすく、共感できる可能性が高いのです。
まとめ:40代・50代だからこそ楽しめるマンガの世界
40代・50代になると、若いころに楽しんでいたマンガとは違い、人生や人間関係の深みを描いた作品に惹かれる傾向があります。共感や気づき、懐かしさといった感情が心を豊かにしてくれるため、大人世代にとってマンガは「知的な娯楽」でもあるのです。ぜひ、自分のライフスタイルに合ったマンガを見つけて、心の栄養にしてみてください。